クロキはハイノキ科かの常緑広葉樹じょうりょくこうようじゅで、照葉樹しょうようじゅです。クロキが属ぞくするハイノキ科かは多様性たようせいが高たかく、世界せかいに250種類しゅるい、日本にほんだけでも20種類以上しゅるいいじょうが分布ぶんぷしています。

クロキは、暖あたたかくて湿気しっけのある場所ばしょを好このみ、乾燥地かんそうちでは育そだちにくい木きです。

クロキは、幹みきが黒くろいから「クロキ」という名なになったという説せつもありますが、実際じっさいは白しろみがかった灰褐色はいかっしょくの樹皮じゅひが多おおく、あまり黒色くろいろには見みえません。しかし、雨あめにぬれると黒くろさが目立めだちます。

また、本来ほんらいは黒くろい幹みきですが、地衣類ちいるいが付着ふちゃくして白しろっぽく見みえているという説せつもあるようです。

通説つうせつでは、枝葉えだはを燃もやした後あとにできる灰汁あくを染料せんりょうにして黒くろく染そめたことに由来ゆらいするともいわれています。

高たかさは10メートルほどで、若わかい枝えだは緑色みどりいろで、無毛むもうです。葉はは互生ごせいです。

光沢こうたくがあるクロキの葉は

葉はの上半分うえはんぶんの縁へりに波型なみがたの浅あさいギザギザ（鋸歯きょし）があり、若わかい枝えだは緑色みどりいろで、稜りょうが入はいっています。

クロキの葉はは楕円形だえんけいで革質かくしつ。表面ひょうめんには光沢こうたくがあります。先さきはやや鈍にぶく尖とがっており、基部きぶはくさび型がたになっています。

雄おしべが目立めだつ雄花おばな

クロキは、春先はるさきにハイノキと同おなじような白しろか薄緑色うすみどりいろの花はなを咲さかせます。

また、株かぶによっては秋あきに色違いろちがいの紫色むらさきいろの花はなを咲さかせるという風変ふうがわりな性質せいしつを持もっていますが、春はるの花はなが正常花せいじょうかで、秋あきに咲さく花はなは奇形花きけいかとされています。

花はなは良よい香かおりです。花はなにはほとんど花柄かへいがなく、葉腋ようえき（葉はの付つけ根ね）に花はなが密集みっしゅうして付つきます。花冠かかんは直径ちょっけい8ミリほどです。雄おしべは多数たすうあり、花冠かかんより長ながく、よく目立めだちます。

クロキの蕾つぼみ

年ねんに２回花かいはなが咲さくことがあることと、春はるの花はなの蕾つぼみは、前年ぜんねんの秋あきにできていることから、一年いちねん中じゅう蕾つぼみを付つけているかのように見みえます。

青黒あおぐろく熟じゅくす果実かじつ

果実かじつは楕円形だえんけいで夏なつの終おわり頃ごろから目立めだちはじめます。長ながさ１～1.5cmほどで、初はじめは緑色みどりいろですが、11月頃がつごろになると青黒あおくろく熟じゅくします。

染料せんりょうとして

ハイノキ科かの木きは、その名前なまえのように枝葉えだはを燃もやした灰はいを、染料せんりょうなどに利用りようし、色いろを定着ていちゃくさせます。釉薬ゆうやくとしても利用りようでき、多様たような使つかい方かたがある木きのグループです。