樹木の概要

ユズリハ

  • 樹種(じゅしゅ):ユズリハ
  • 学名(がくめい):Daphniphyllum macropodum
  • 漢字(かんじ):楪、譲り葉
  • 分類(ぶんるい):ユズリハ科ユズリハ属
  • 別名(べつめい):オヤコグサ、ユズルハ
  • 分布(ぶんぷ):福島県以西の本州、四国、九州、沖縄
  • 形態(けいたい):常緑広葉高木
  • 樹形(じゅけい):卵形
  • 樹高(じゅこう):5~10m
  • 雌雄(しゆう):雌雄異株
  • 花(はな):5~6月/雄花 0.5cm(直径) 雄花の集まり(花序)4~12cm(長さ)/雌花 3.5~4.5mm(直径)
  • 実(み):11〜12月/8〜9mm(直径)
  • 特徴(とくちょう):ユズリハは新しい葉が伸びてから古い葉が落葉する性質がある。 新緑の頃、黄緑の若葉に、赤い葉柄と濃い緑の葉の三つの色の組み合わせが美しく、印象的。 葉や果実にはアルカロイドが含まれ、まれに中毒症状を起こすことがあるので、 野生動物から食べられないことから伐採跡地が再造成されないときに大量発生することがある
新しい葉と古い葉が譲り合うユズリハ
ユズリハの精霊:隠れ里のユズハ

ユズリハの話

ユズリハは、ユズリハ常緑じょうりょく広葉こうよう高木こうぼくで、たかやく10mにまでなります。

天然てんねんでは、ユズリハは福島県ふくしまけん以西いせい本州ほんしゅう四国しこく九州きゅうしゅう沖縄おきなわ山地さんち林内りんないられ、庭木にわき公園樹こうえんじゅとしてもえられています。日陰ひかげでもよくそだちます。

果実かじつにはアルカロイドがふくまれ、まれに中毒ちゅうどく症状しょうじょうこすことがあり、この毒性どくせいのため野生やせい動物どうぶつべないので、スギなどの伐採ばっさい跡地あとち再造林さいぞうりんがされない場合ばあいなどに、ユズリハが大量たいりょう発生はっせいすることがあります。

春先はるさきあか包葉ほうようつつまれた黄緑色きみどりいろ若葉わかばたばねて輪生状りんせいじょうあつまって互生ごせいします。その様子ようすとおくからでもわかるほどです。

ユズリハは、春先はるさきあたらしい若葉わかばびると、ふる落葉らくようする性質せいしつがあります。世代せだい交代こうたいなくつづくということから、家系かけいえないことを意味いみするとして、日本にほんでは、正月しょうがついわいごとのかざもの使つかわれてきました。

日陰でもよく育つユズリハ
世代交代が絶え間なく続くユズリハ

ユズリハの由来ゆらい

はるあたらしい若葉わかばると、前年ぜんねんふるちます。ちるふる新芽しんめ場所ばしょをゆずることが、おや跡目あとめをゆずるとおなじことで、おめでたいと解釈かいしゃくされ、「ユズリハ(ゆず)」と名付なづけられたといわれています。

落ちる古葉が新芽に場所をゆずることから名付けられた

ユズリハを観察しよう!

ユズリハのみき樹皮じゅひ

樹皮じゅひ灰褐色はいかっしょくで、比較的ひかくてきなめらかです。楕円形だえんけい皮目ひもくがあり、たてほそすじはいります。ちいさなボツボツがたて方向ほうこう多数たすうならびます。

灰褐色で、なめらかな樹皮

輪生りんせいじょうあつまって互生ごせいするユズリハ

単葉たんようで、輪生状りんせいじょうあつまって互生ごせいし、枝先えださきにまとまっていています。

葉身ようしんちょう楕円形だえんけいで、先端せんたんみじかとがっています。ながさは8~20cmとおおきく、葉柄ようへい赤色あかいろび、4~7cmとながいのが特徴とくちょうです。

へりには、ギザギザ(鋸歯きょし)はありません。あつくて、おもて光沢こうたくがあり、陽光ようこう反射はんしゃして、よくひかります。よりもやわらかく、無毛むもうです。

おもて緑色みどりいろ光沢こうたくがあるのにたいして、うらしろっぽいです。おもて葉脈ようみゃく比較的ひかくてきはっきりしています。

若葉わかばをすかしてみると、あみのような葉脈ようみゃくがはっきりられます。

新緑しんりょくころあか葉柄ようへい若葉わかば黄緑きみどり緑色みどりいろふるみっつのいろくみわせがうつくしく、印象的いんしょうてきです。

枝先えださき若葉わかばひらくと、そのしたにあるふるしおれるようにれます。落葉らくようする寸前すんぜん黄色きいろいろづき、すこしずつちていきます。

ユズリハの葉(左:おもて 右:うら)
葉身が長楕円形で、葉柄は赤色を帯びている
網の目のような葉脈がはっきりとみられるユズリハの若葉
黄色く色づいた落ち葉

風媒ふうばいユズリハ

ユズリハには雄株おかぶ雌株めかぶがあります(雌雄しゆう異株いしゅ)。

5~6がつかぶあたらしいるとまえとしち、まえ雄花おばながってきます。

はなといっても、とてもちいさく、はなびら(花弁かべん)もガクもなく、かぶ雄花おばなしべだけ、かぶ雌花めばなしべだけのはなかせます。

雄花おばなしべは、6~12で、やく紫褐色しかっしょく目立めだちます。ばな紅色べにいろ柱頭ちゅうとうは、トサカのようです。

ユズリハは風媒花ふうばいかです。むしさそ必要ひつようもないので、機能きのうじゅうし、このようなはなになったとおもわれます。

新しい葉の付け根(葉腋)から雄花が咲く

観察かんさつしよう!

楕円形だえんけいの、直径ちょっけい1cmじゃく果実かじつがってきます。果実かじつはじ青緑色あおみどりいろしろこなおおわれていますが、11月頃がつごろになると青黒あおぐろじゅくし、くろみがかった紫色むらさきいろになります。

果肉質かにくしつ比較的ひかくてきおおきいため、ヒヨドリなどの野鳥やちょうにも人気にんきです。

野鳥にも人気なユズリハの実

ユズリハと人とのかかわり

子孫しそん繁栄はんえいねがう、正月しょうがつかざりにはかせないユズリハ

はるになって若葉わかばると、ふるは「若葉わかばゆずる」ようにることから「ゆず」という和名わめいがあります。その様子ようすおや成長せいちょうしたに、あとをゆずり、家系かけい途切とぎれることなくつづくことに子孫しそん繁栄はんえいのおめでたいとされてきました。とくは、おおきく、うつくしい緑色みどりいろなので、縁起物えんぎものとして、おめでたい正月しょうがつかざり(門松かどまつ、しめ縄飾なわかざり、鏡餅かがみもち)などにもちいてきました。

枕草子まくらのそうし四〇よんじゅうだんでも、大晦日おおみそか御魂祭みたままつり正月しょうがつの「歯固はがため」という行事ぎょうじでユズリハが登場とうじょうしており、当時とうじから縁起えんぎとして重用ちょうようされてきたことがかります。俳句はいくでも「新年しんねん」の季語きごとなっています。

正月飾り
鏡餅の飾りに使われているユズリハの葉

どくのある植物しょくぶつとして

樹皮じゅひ果実かじつにはアルカロイドをおおふくみ、ふるくから駆虫剤くちゅうざい出来物できものくすりとして利用りようされてきました。

樹皮や葉、果実には毒がある

石斧せきふ利用りようされた

縄文じょうもん時代じだい遺跡いせきである鳥浜とりはま貝塚かいづか福井県ふくいけん)から出土しゅつどしたいしおのは、ほとんどがユズリハを使つかってつくられていたことがわかっています。

ユズリハのざいは、うつくしく、丈夫じょうぶで、しなやかさがあります。縄文人じょうもんじんは、きっと特徴とくちょう理解りかいして道具どうぐつくっていたのでしょう。

石の斧をつかう縄文人

ユズリハクイズ

ユズリハのはなはどれでしょう?

正解!

ユズリハのはなはとてもちいさく、はなびら(花弁かべん)もガクもなく、雄株おかぶには雄花おばなだけ、雌株めかぶには雌花めばなだけのはなかせます。

雄花おばなしべは、6~12で、やく紫褐色しかっしょく目立めだちます。雌株めかぶ雌花めばなは、紅色べにいろ柱頭ちゅうとうで、トサカのようです。

ユズリハは風媒花ふうばいかです。むしさそ必要ひつようもないので、機能きのう重視じゅうしし、このようなはなになったとおもわれます。

ユズリハ以外いがい風媒花ふうばいかかせる植物しょくぶつさがしてみましょう!

残念!

ユズリハのはなはとてもちいさく、はなびら(花弁かべん)もガクもなく、雄株おかぶには雄花おばなだけ、雌株めかぶには雌花めばなだけのはなかせます。

雄花おばなしべは、6~12で、やく紫褐色しかっしょく目立めだちます。雌株めかぶ雌花めばなは、紅色べにいろ柱頭ちゅうとうで、トサカのようです。

ユズリハは風媒花ふうばいかです。むしさそ必要ひつようもないので、機能きのう重視じゅうしし、このようなはなになったとおもわれます。

ユズリハ以外いがい風媒花ふうばいかかせる植物しょくぶつさがしてみましょう!

トップに
戻る